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服部希美
心理カウンセラー/講師
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自分の気持ちが分からないときは。「フェルトセンス」を手がかりに〜カウンセリングQ&A

「自分がどうしたいのか、分からないんです」
「嫌なのは分かるんです。でも、何がそんなに嫌なのか説明できなくて」
「いろいろ考えてみたんですけど、結局、自分の気持ちがよく分からないんですよね」

カウンセリングでも、こういったお話をお聞きすることがあります。

自分のことなのに、自分の気持ちが分からない。

そんなとき、私たちはつい、

「ちゃんと考えなきゃ」
「気持ちを整理しなきゃ」
「結局、私はどうしたいの?」

と、答えを出そうとしてしまいます。

でも、考えれば考えるほど分からなくなってしまうこともあるんですよね。

そんなときには、無理に「答え」を出そうとするよりも、

「なんか違う」
「しっくりこない」
「うまく言えないけれど、こっちな気がする」

そんな曖昧な感覚を、少し大切にしてみるといいかもしれません。

「なんか違う」は、気のせいではないかもしれない

心理療法のひとつに「フォーカシング」というアプローチがあります。

フォーカシングを提唱した心理学者ユージン・ジェンドリンは、ある状況について身体で感じられる、まだはっきりと言葉になっていない感覚を「フェルトセンス」と呼びました。

たとえば、

「悲しいのかな」と考えてみる。

でも、

「うーん、悲しい……とはちょっと違う」

と感じる。

「じゃあ、寂しいのかな」

それもしっくりこない。

「もしかして、悔しかった?」

そこで初めて、

「ああ、それかもしれない」

と、何かが腑に落ちる。

こんな経験、みなさんにもないでしょうか。

言葉ではまだ説明できなくても、私たちの中には「これは違う」「これは近い」と感じ取っている部分があります。

ですから、

「なんか違うんだけど、何が違うのか分からない」

という状態も、必ずしも「自分の気持ちが分かっていない」だけとは限らないのです。

むしろ、まだ言葉にはできないけれど、何かをちゃんと感じ取っている途中なのかもしれません。

カウンセリングでも「しっくりくるか」を大切にします

カウンセリングでも、この「しっくりくる」「しっくりこない」という感覚を大切にすることがあります。

お話を伺いながら、

「もしかすると、こんなふうに感じていたのでしょうか」

と私からお伝えすることもあります。

でも、それが正解とは限りません。

「うーん、それとはちょっと違います」

と言われたら、その「違う」を大切にします。

「では、こちらのほうが近いでしょうか」

「それもあるけれど、もうちょっと……」

そんなふうに、何度も確かめながら、その方の感覚に合う言葉を一緒に探していきます。

すると、

「嫌われるのが怖いんだと思っていたけれど、
本当は、がっかりされたくなかったんだ」

「彼と復縁したいと思っていたけれど、
本当に欲しかったのは、もう一度ちゃんと大切にされることだったのかもしれない」

というように、

最初は「なんとなく苦しい」だったものが、少しずつ具体的になっていくことがあります。

そして、

「あ、それです」

と、言葉と自分の感覚がぴったり合う瞬間がやってくることもあります。

カウンセラーがその人の気持ちを「当てた」というよりも、
その方の中にずっとあったものに、ようやく言葉が追いついた。

そんな瞬間なのだと思います。

「分からない」ままでも、話していい

ですから、

「自分の気持ちが分からないから、カウンセリングで何を話せばいいのか分からない」

という方も、心配しなくて大丈夫です。

話がまとまっていなくてもいいですし、結論が出ていなくても構いません。

「なんか苦しい」
「なんか嫌なんです」
「うまく説明できないけれど、しっくりこない」

そんなところから、お話ししていただいて大丈夫です。

「これは違う」
「こっちのほうが近い」
「まだ分からない」

そうやって自分の内側にある感覚をひとつずつ確かめていくことも、自分の気持ちを知っていく大切なプロセスです。

自分の気持ちが分からないとき、すぐに答えを出そうとしなくてもいいのかもしれません。

まずは、

「いまの私には、何がしっくりくるんだろう」

そんなところから、自分の心に耳を傾けてみてくださいね。

ひとりではなかなか見つけられないときには、カウンセリングで一緒に探していくこともできますよ。

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