「もう少し頑張れば、きっとうまくいく」
そう思って、仕事を頑張ったり、人に気を配ったり、自分を成長させようと努力したり。
私たちは「欲しいものを手に入れるためには、自分が頑張ることが大切」と考えることが多いですよね。
もちろん、頑張ることが悪いわけではありません。
自分の力で何かを成し遂げたときには大きな達成感もありますし、自信にもつながります。
でも、ときどきありませんか?
ちゃんと頑張っているし、それなりに結果も出ている。
周りから見れば、うまくいっているように見えるかもしれない。
それなのに、なぜか心が満たされない。
「もっと頑張らなきゃ」と思うばかりで、いつまでたっても「幸せだな」と感じられない。
そんなときには、もしかすると「頑張ること」とは違う方向に目を向けてみてもいいのかもしれません。
「受け取る」こと、できていますか?
誰かがあなたを褒めてくれたとき、「いやいや、そんなことないです」とすぐに否定していないでしょうか。
誰かが「手伝おうか?」と言ってくれたとき、「大丈夫です、自分でできます」と反射的に断っていないでしょうか。
誰かがあなたのために何かをしてくれたときも、
「申し訳ないな」
「お返ししなきゃ」
「迷惑をかけちゃったな」
そんな気持ちが先に出て、素直に喜べないことがあるかもしれません。
実は、頑張ることが得意な人ほど、「受け取ること」が苦手な場合があります。
人に迷惑をかけないように。
誰かの負担にならないように。
期待して、がっかりしないように。
自分のことは、自分でなんとかする。
そんなふうに生きてきた人にとっては、「誰かにしてもらうこと」は、思っている以上に勇気がいることだったりするのですね。
幸せは「自分で作るもの」だけではない
私たちは、自分で努力して手に入れたものには気づきやすいものです。
頑張って仕事を終わらせた、欲しかったものを買った、目標を達成した。
こういった幸せは、とても分かりやすいですよね。
でも、私たちが感じる幸せには、もうひとつあるように思います。
それは、人とのあいだで生まれる幸せです。
「会えてうれしい」と言ってもらった。
困っているときに、誰かが手を差し伸べてくれた。
頑張ったことを「よくやったね」と一緒に喜んでもらった。
何もできない日にも、変わらずそばにいてくれた。
こういうものは、自分ひとりで頑張って作ることはできません。
誰かから差し出されたものを「ありがとう」と受け取ることで、初めて自分の中に入ってくるものだからです。
受け取れないと、「ない」ように感じてしまう
あとですね。
人からの好意や愛情を受け取るのが苦手だと、ちょっと切ないことが起きちゃうこともあるんです。
それは・・本当は周りにあるのに、
自分の中では「ない」ことになってしまう、ということ。
大切にされているのに、「これくらい普通でしょ」
褒めてもらっているのに、「お世辞だろうな」
助けてもらっているのに、「迷惑をかけてしまった」
そうやって受け取らずにいると、
どれだけ周りから差し出されても、心はなかなか満たされません。
心理学の研究でも、実際に受けた支援の量より、「自分は支えられている」と感じられているかどうかのほうが、心の健康と結びつきやすいことが示されています。
支えがあることと、それを感じられていることは、実は別のことなのですね。
誰かと一緒に幸せになる
心理学には、人の心の成長を「依存」から「自立」へ、そしてその先の「相互依存」へと進んでいくものとして捉える考え方があります。
ひとりで頑張れる「自立」はとても大切な力ですが、
その先には、与えることも受け取ることもできる関係があるのです。
受け取るということは、何でも人にやってもらうことでも、「依存」に戻ることでもありません。
自分でできることは、自分でやっていい。頑張りたいことは、頑張っていい。
そのうえで、「ありがとう」「うれしい」「助かった」「一緒にいてくれてよかった」と言葉にしながら、誰かから自分に向けられたものを受け取ってみる。
そして、自分がうれしいときには、誰かと一緒に喜んでみる。
ひとりで頑張って手に入れる幸せとは、また違った幸せが、そこにはあるのではないかなと思うのです。
もし今、「こんなに頑張っているのに、なんだか満たされないな」と感じているなら、これ以上自分に「もっと頑張れ」と言う前に、「私は今、何を受け取るといいのだろう?」と、少し周りを見渡してみるのもひとつの手、かもしれませんね。
あなたのことを気にかけてくれている人。
かけてもらった言葉。
誰かがしてくれた、小さなこと。
自分ひとりでは手にいれることができないものが、見つかるかもしれません。
受け取れないにも理由がある
とはいえ、です。
頭でわかっていても、こころがいうことを効かない。
こういうころも多かったりしますよね。
わかっているのに、褒められるとつい否定してしまう。
手伝ってもらうと、うれしいより先にそわそわしてしまう。
それは、受け取れないことが、ただのクセではないからです。
たとえば子どものころ、甘えたいのに、親が忙しそうで我慢するしかなかった。
頼ってみたけれど、がっかりすることが多かった。
そんな経験をすると、心は「最初から期待しないほうが、傷つかなくてすむ」と覚えていきます。
そして、「ひとりで大丈夫」と頑張る自分ができあがっていくのです。
困るのは、この守り方が大人になっても続いてしまうこと。
今そばにいる人は優しいのに、心は昔のまま「期待しちゃダメ」とブレーキをかけてしまうのですね。
そしてその奥には、あのとき本当はわかってほしかった気持ちが、今もそのまま残っていて
「あのとき、あの言葉を言ってもらいたかった。それ以外には意味がないの」という心理になっていることも少なくないみたいなんですよね。
カウンセリングでは、この「自分では気づきにくい心の奥」を、一緒にゆっくり見ていきます。
ある方は、褒められると否定してしまう理由を話しているうちに、ふと子どものころを思い出しました。
頑張っても「できて当たり前」と言われ、誰にも気づいてもらえなかったこと。
そのときの悔しさをカウンセラーと話して、受け止めてもらえたあと、
職場で「ありがとう」と言われたときに、初めて素直に「うれしい」と感じられたそうです。
(※複数の方のお話をもとにした例です)
受け取れない理由は、人によって違います。
あなたにも、あなたなりの理由があるはずです。
それを知ることが、頑張らなくても満たされるための、はじめの一歩になるのかもしれませんね。
カウンセリングもお気軽にどうぞ。
参考になれば幸いです。

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